転々
2007 ヴィスタサイズ 101分
DVD
原作■藤田宜永 脚本■三木聡
撮影■谷川創平 照明■金子康博
美術■磯見俊裕 音楽■坂口修
監督■三木聡
■大学8年生のむさい男(オダギリジョー)が、借金取りのおっさん(三浦友和)の東京散歩に付き合えば100万円やるよという胡散臭い提案に乗ってしまい・・・
■原作小説は未読だが、三木聡がかなり自分テイストに脚色しているだろう。物語の基本線は踏襲しているだろうが、借金取りの妻(宮田早苗という女優。手塚理美と区別が付かない人は少なくないのでは?)のマンションにスーパーの同僚たちがたどり着くエピソードのあたりは大幅に三木テイストだよね。当然、岸部一徳も出ないだろうしね。
■親子のような二人の男の東京散歩が小泉今日子と 吉高由里子の登場で擬似家族ものに変転し、一方で、岩松了、ふせえり、松重豊の凸凹トリオがマンションに到着するサスペンスを配置するあたりは、シンプルながら効果的な構成で、ふんだんな三木ギャグとともに、一気に観てしまう。ドラマとしての掘り込みは深くないが、十分によくできた娯楽映画で、「亀は意外と速く泳ぐ」に次ぐ佳作。「図鑑に載ってない虫」は評判がいまいちだったらしいが、本作は大丈夫だから、時効警察ファン以外も安心して観ておくれ。オダギリジョーはいつものように楽しそうだし、珍しく長髪の三浦友和が非常に良い味。この人は、真面目な人間よりも、身を持ち崩した人間を演じると、生活感のだらしなさがこの人の持ち味の清潔さとうまく中和して良い頃合になるようだ。