空中庭園
2005 ヴィスタサイズ 115分
DVD
原作■角田光代 脚本■豊田利晃
撮影■藤澤順一 照明■上田なりゆき
美術■原田満生 コンポジットディレクター■道木伸隆
音楽監督■ZAK
監督■豊田利晃
■家族の間にはなんの隠し事もないの、が信条の一家だが、その実、家族はそれぞれの秘密を抱えていた、という典型的なホームドラマで、物語自体は非常にオーソドックスなものだが、演出ぶりは、いかにも若手監督らしい、不必要なキャメラワークや気負った演出が散見され、若書きと呼ぶのがふさわしい。正直なところ、これだけのお話であれば90分くらいで決着が付きそうに思う。最近の若手監督はもっと老成している感じだが、この監督はいかにも若いというタッチを素直に打ち出している。実のところ、もっと文芸映画的な肌合いの作品かと思っていたのだが、大いに裏切られた。
■主演の主婦役の小泉今日子は案外この監督と波長が合ったのではないかと思われる。エキセントリックな部分を持った人なので、ラストの真っ赤な雨の中で絶叫なんて、喜んで演じたのではないか。演出としては全然褒められないが。
■他にはすっかり痩せ細って大映時代のぷくぷく感は微塵も無い大楠道代が、それでも大きな存在感で小泉今日子と対等に渡り合っているのに感心した。
■ラストの小泉と大楠の母子関係がほどけてゆく展開なども非常に安易な作劇で、ちょっと許せない気がする。