リーピング ★★★☆

THE REAPING
2007 ヴィスタサイズ 100分
DVD

アメリカ南部で発生する、旧約聖書の”十の災厄”を思わせる怪異現象を調査に訪れた女性学者は、科学的な解決を求めるが、知り合いの牧師は悪魔復活の印を見出していた。そして異変の渦中にひとりの少女の存在が浮かび上がるが・・・

■古いB級ホラーのリメイクから出発したダークキャッスルの最新作はオリジナル作だが、ホラーというよりもオカルト・スペクタクルである。しかも、予想外に出来がいい。封切り時には、”イナゴ少女現る”とか”虫とかだしちゃうよ”の傑作コピーで観ておきたかったのに見逃してしまったのだが。例のイナゴの大群シーンなど、シネコンで見ないと値打ちがないというものだ!

■怪現象の意味づけや、兄を殺したと云われる少女の位置づけについて、神と悪魔の両面から探索してゆくなかで、ラストで正確な解決が図られるというサスペンスが仕組まれており、ラストの捻りもよく利いている。特に、主演のヒラリー・スワンクの役どころを、牧師でありながら、スーダンの救貧活動中に夫と娘を亡くして神を捨てたという設定にしておいて、ラストで伏線が浮かび上がるというあたりは巧いものだ。スーダンでの悲劇は神の業でも悪魔の業でもなく、人間の愚かさが招いたものだという主人公が、しかし神/悪魔の実在を改めて認識させられるという作劇は見事に正攻法で、納得に値する結論だ。

■ラストにはダブル・ネガティブ謹製のCGワークが大スペクタクルを描き出し、ちょっと「スペース・バンパイア」を想起したのだが、きっとこれは狙っているに違いない。しかも、VFXのレベルは高いから、特にイナゴのシーンなど単純に圧倒される。手持ちカメラの不安定な動きに、三次元でちゃんとマッチムーブしているのが、観ていて非常に気持ちいい。

© 1998-2024 まり☆こうじ