レッド・コーナー 北京のふたり ★★★☆

RED CORNER
1997 ヴィスタサイズ 123分
DVD

レッド・コーナー 北京のふたり [DVD]
■米国人サラリーマンが北京で一夜を共にした女が殺され、犯人として逮捕されたことから味わう、官僚国家中国の恐怖。
■中国人弁護士を演じるバイ・リンは、実際に中国生まれで、アメリカに渡った実力派女優のようだが、実際見事な演技と弁舌を見せる。基本的にハリウッド映画では中国人はアクション要員だが、演技力でここまで主役を食う演技を見せたのは希なことだろう。しかし、この後ハリウッド映画ではあまり役に恵まれていないようだ。
■お話としてよく出来ており、特に奇抜なトリックが仕組まれた作為的なサスペンスというわけではなく、中国における裁判の閉鎖性と野蛮さを”リアル”な雰囲気(あくまで雰囲気)で描き出す。しかも、一方的に中国の官僚国家を批判するだけでなく、その一員であり、文化大革命で無残な形で父を奪われたバイ・リンが、中国の再生のために自身が目覚めることで、中国の内部に生まれ変る可能性が眠っていることを示しており、気配りも万全である。
■終盤でバタバタとカタルシスを詰め込む構成にも嫌味がなく、問題提起と劇的解決のバランスも絶妙であり、社会派サスペンスとしては上出来である。

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