MY BLUEBERRY NIGHTS
2008 スコープサイズ 95分
TOHOシネマズ二条(SC3)
■今までなんとなく敬遠していたウォン・カーウァイの映画をはじめて観たわけだが、撮影がダリウス・コンジであるということの方が魅力といえるだろう。デイシーンは色がくすんだ感じで、多少ビデオ撮影のようにも見えるタッチだが、ナイトシーンになると俄然色味の濃厚な暖かい世界観を醸し出す。
■ノラ・ジョーンズとジュード・ロウのエピソードよりも、中盤のデヴィッド・ストラザーンとレイチェル・ワイズのエピソードが秀逸。特に新しいドラマが構築されている訳ではないが、両者の役者ぶりが遺憾なく発揮されて、胸を打つ。このエピソードは、お洒落というよりも、演歌的な男と女の関係をしっとりと描き出しているおかげで見ごたえがあるのだ。
■結局のところノラとジュード・ロウのお話に深みが無く、というか全体にエピソードの羅列なので、ウォン・カーウァイの映画作法の弱点があからさまになっているというべきだろう。普通のハリウッド製のラブコメ映画のほうが洗練されていると思うぞ。