テレビドラマ雑感=2008/3/9=

NHKの「鞍馬天狗」があっという間に終了。全8話しかないというのは、あまりにも残念だ。というのも、野村萬斎が持ち前の浮世離れした存在感を発揮して、鞍馬天狗などという大時代なヒーローを正攻法で演じ切っていたからだ。
■最終エピソードは前後編で、鞍馬天狗が杉作と出会い、暗殺人別帖を狙って大坂城に乗り込むが捉えられ、近藤勇に救出されるまでが描かれる。ラストの近藤との一騎打ちの幕切れも続編への期待を煽る鮮やかなものであっただけにNHKは萬斎のスケジュールが調整できれば続けたいと考えているのだろう。
■脚本は古田求と川上英幸が担当し、古典的なヒーロー活劇を展開しながら、最終エピソードの前編では、倉田典膳が杉作に、私が死んでも同じ志を持つものがまた鞍馬天狗として現われるであろう、とヒーロー論をぶち上げて、真正面からヒーローのあり方を模索したあたりも、非常に有意義であった。
■劇伴は服部隆之が担当し、ダニー・エルフマンバットマンのテーマから盛大にパクッたテーマ曲を披露してくれた。映画会社から訴えられないか心配になるほどだ。
■松竹京都撮影所と京都市内ロケが中心で、キャスティング的にも非常に低予算なのは確実だが、NHKは4月から木曜時代劇枠を土曜日に移動して30分枠に縮小するらしく、時代劇の危機も深刻なようだ。
■一方、「未来講師めぐる」はチャカチャカした月曜ドラマランド的な演出(わざとですが)が鬱陶しいが、次第に馴れてきたよ。小ネタ満載だけでなく、ドラマ的にも案外充実した超能力SFで、来週の最終回がどんな幕引きを用意しているか楽しみだ。

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