テラビシアにかける橋 ★★★

BRIDGE TO TERABITHIA
2008 ヴィスタサイズ 95分
ユナイテッドシネマ大津(SC1)

■あまり物語については多く書かないほうがいいのだろうが、既に予告編でお話の90%くらいは出してしまっているので、この映画に関しては、それはそれで困ったものだと思う。少年期の終わりをほろ苦く描き出すのに、ファンタジーの手法を取り入れた物語で、主人公の少年の隣家に越して来る転校生の少女を演じたアンナソフィア・ロブの可憐さがこの映画の肝だ。
■そしてラストの物語上の処理の仕方がもうひとつの肝であって、賛否分かれる部分があると思うが、個人的にはもっと苦い結末の方が納得しやすい。安易に少女との再会を描かなかったのはガボア・クスポという監督の節度を示しており、なかなか偉い奴だとは思うが、下手をすると続編に対する色気を残したのではないかという解釈が成り立つところに弱点がありはしないだろうか。
■VFXはWETAデジタルだが、総じてあまり予算をかけていないようで、品質的には若干貧弱だ。
■昨今流行のファンタジー世界に遊ぶ風の物語ではなく、現実世界の様々な桎梏に苦悩しながらも夢を求め育む少年時代の痛々しい想いに焦点を絞って簡潔に描き出した点は異色である。

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