ルイスと未来泥棒(日本語吹替版) ★★★★

MEET THE ROBINSONS
2007 ヴィスタサイズ 95分
TOHOシネマズ二条(PS)

ルイスと未来泥棒 オリジナル・サウンドトラック
■監督はスティーヴン・J・アンダーソンで、ピクサーではなくディズニー本体製作による3DCGアニメだが、製作総指揮にピクサー出身のジョン・ラセターが参加したおかげか、ディズニー本体から抜けなかった作劇の詰めの甘さが皆無で、脚本はピクサー譲りの完成度の高さだ。ディズニー本体製作の3DCGアニメの第一作「チキン・リトル」(未見)はあまり評判がよろしくないようだが、本作はさすがに大向うを唸らせる出来栄えだ。エンディングを除くと、実質的には85分程度の小気味良い短さだ。メリハリの効いた無駄のない展開で、あっという間に感動のラストを迎える。娯楽映画としては何の文句も無い。
■CGキャラクターのアニメらしい可愛らしさもピクサーのテイストを受け継いでおり、ラストで明かされるディズニー映画の歴史に対する畏敬の情も、作劇の確かさのおかげで嫌味が無いし、単なる献辞ではなく、劇中に巧く仕組まれているので、自然に感動を誘うことができる。見事な芸当である。
■中盤の未来世界でのてんやわんやの大騒動のアクションの見せ場に小技が効いていて巧いのは、やはりジョン・ラセターのおかげだろう。太っちょの恐竜や、蛙のフランキーなど、人間以外のサブキャラクターも秀逸で、楽しいことこの上ない。子供向け映画としての完成度はピカイチだが、ハリウッド映画の美点だけを上手に受け継いで見せた脚本、演出、音楽の素晴らしさは、大人にこそその真価が理解できる贅沢なものだ。

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