士魂魔道 大龍巻 ★★

士魂魔道 大龍巻 [DVD]

士魂魔道 大龍巻
1964 スコープサイズ 106分
BS2録画
原作■南条範夫 脚本■木村武、 稲垣浩
撮影■山田一夫 照明■小西康夫
美術■植田寛 音楽■石井歓
特技監督円谷英二
監督■稲垣浩

 大阪夏の陣に破れ、散り散りになった三人の若者(市川染五郎夏木陽介佐藤允)のその後の姿を描く青春映画かと思いきや、豊臣の埋蔵金の強奪計画に収束し、欲に眼のくらんだものたちを大龍巻が一掃するという、捩れた物語になっており、なんだかまとまりのない映画。

 クライマックスの大龍巻のミニチュアワークも中途半端で、クライマックスの舞台となる農家がバラバラになってゆく場面はさすがに大型ミニチュアの破壊プロセスをじっくりと見せて、独特の説得力があるのだが、竜巻というものが特撮として十分に描かれているとは言えない。

 佐藤允久我美子のメロドラマなど、かなりしっとりと描かれており、特にこの二人を再会をめぐる場面は、崩れた土塀やあばら家など美術装置も力作なのだが、作劇的には十分でない。

 そういえば、大坂城千畳敷に火を放つ場面を、ストレートにステージセットを平気で燃やしているのに感動した。今日、到底ありえない撮影方法だ。

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