タイ旅行記(2)

 もはや忘れてしまいそうなので、タイでの食事について記録しておく。
 なんと言っても屋台が有名で、実際道端で見かけると、日本では屋台と言えば祭りを連想するので、それだけでなんとなくうきうきした気分になる。特に、バンコク市内は週末ということもあり、巨大ショッピングセンターの周辺は、ライブがあったり、インド舞踊(?)があったり、完全にお祭りムード。
 実際、調理の光景を見ていても実に旨そうなものがある。一方で、タイ独特のココナッツミルクの濃厚な香りや、パクチーをはじめとする強烈な香草の香り、さらに生ごみが激しく腐敗したような酸性の臭い等々で、とうてい食べられねーよといった屋台もあり、特にチェンマイの城郭内の地元向けの出店では、それはもう形容のし難い強烈な臭いが立ち込めて、正直恐怖を感じるのであった。しかも、料理の臭いなのか、生ごみの腐敗臭なのか、下水の臭いなのか判然としない、或いは渾然一体となったもの凄い臭気が立ち込めるスポットがいくつかあり、足元の地面が崩れ落ちて地獄へまっさかさまに落ち込むのではないかと怪しんだ。タイの最も強烈な印象は、この街のところどころに漂う香りであり、それは個人的には恐怖感に直結している。
 しかし、食べ物の値段の安さには感動した。フードコートでパッタイを食べると35バーツ(約120円)、しかもこれはクセが少なく旨い。チェンマイの空港内のレストランは少し高級で、それでも90バーツ(約300円)程度ではなかったか。これは、エビがごろごろ出てくる贅沢なパッタイで、はじめは酸味がきつかったが、馴れると実に旨く、しかもボリューム満点。
 バンコクサイアム・スクエアでは、香港ヌードル(チェーン店だが)で、名物エビワンタンメン。これは巨大なワンタンが5つくらい入って、約60バーツ(約200円)。ワンタンの具は、またまたエビがごろごろ。これだけのボリュームがあれば、日本では1000円くらいはするだろう。あっさりとしたスープとの相性も良く、これは値打ちがあった。他にも旨そうなメニューが一杯なのでもう一度行ってもよかったのだが、何しろ若者の町なので、少々場違いな雰囲気でしたな。
 最終日にはセントラル・ワールド・プラザ(確かに広い!)内のSee Fahで、プーパッポンカリー(蟹のカレー炒め)を堪能。タイでいちばん高価な食事でしたよ。カレーと卵の旨みがまとわりついた殻をべろべろ舐めます。これぞ蟹の醍醐味。確かに旨いし、何よりも凄いものを食べたという満足感が大きいが、味的にはシンガポールで食べた蟹のブラックペッパー炒めには敵わないのではないか。
 値段の安さにも感動したが、フードコートの充実に眼を見張った。日本のフードコートなんて、ファーストフードに毛の生えたものだが、タイでは、ちゃんと注文を受けてから材料を合わせて調理が始まるのだ。ただ簡単な料理だからすぐ出来上がるわけだが、なにしろ出来立てだから旨い。このシステムは是非日本にも導入してほしい。値段はタイよりも高くなっても、出来立てのタイフードは、工場生産のファーストフードに比べれば、確実に味がいいし、健康的だ。カオマンガイ(タイ風鶏ごはん)なんて絶対日本でも流行ると思うがなあ。

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