県庁の星 ★★★

県庁の星 スタンダード・エディション [DVD]
県庁の星
2006 ヴィスタサイズ 131分
DVD
原作■桂望実 脚本■佐藤信介、西谷弘
撮影■山本英夫 照明■田部谷正俊
美術■瀬下幸治 音楽■松谷卓
VFXスーパーバイザー■冨士川祐輔
監督■西谷弘

 某県庁のエリート職員(織田裕二)が官民交流プログラムで派遣されたのは、地元の平凡なスーパー。しかも教育係はパート職員(柴咲コウ)。官と民のカルチャーギャップを笑ううち、自らがエリートコースから外されていることを知った彼は絶望するが、経営窮地に陥ったスーパーは彼を必要としていた・・・
 単に官民ギャップを笑うコメディ映画ではなく、地方自治の一面を戯画した、近年珍しい映画である。なぜか脚本を「修羅雪姫」「COSMIC RESCUE」などの監督、佐藤信介が手掛けているが、ウェルメイドの作劇が折り目正しく、頼もしい。
 そもそも県庁の職員とか市役所の職員というものは、地元密着型で、地方自治の闇の世界にも関わる泥臭い存在という印象が強く、”エリート”という認識は全く無いのだが、その点では、この原作じたいにリアリズム志向が薄いのだろうと推測される。県会議の議長とか女性県知事といった海千山千の政治家の腹黒い思惑も描かれるが、地方自治の闇のメカニズムを探った映画ではないから、突っ込んでは描かれない。
 スーパー内部での惣菜競争といった分かりやすい作劇もリアルな説得力はもたないが、娯楽映画の作り方としては、常道だから仕方ないだろう。むしろ、織田裕二がスーパーを去る場面で、従業員出入口に引っ込む前に、万感の思いを込めて売り場に礼をするところなど、ありふれた所作に着目したセンスが素晴らしく、映画的な情感のこもったいい場面になっていて、関心させられた。
 それにしても、誰でもいいから地方自治の裏の汚辱にまみれた闇の構図をリアルに描き出した劇映画を作って見せてくれよ。絶対おもしろいはずだから。

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