独立少年合唱団 ★★★

独立少年合唱団
2000 ヴィスタサイズ 129分
V
原案■青木研次、緒方明 脚本■青木研次
撮影■猪本雅三 照明■赤津淳一
美術■花谷秀文 音楽■池辺晋一郎 特殊効果■尾上克郎
監督■緒方明

 緒方明の監督デビュー作で、ベルリン国際映画祭で新人監督賞を受賞したことで有名な本作、キリスト教系の全寮制中学「独立学園」の合唱団を舞台に、父を亡くした少年(伊藤淳史)と、変声期に怯えるソプラノ少年(藤間宇宙)の同性愛的な友情を中心に、60年代的な性と革命をめぐるモチーフが70年代に投げかけた余韻を描き出す異色作だ。いかにも腐女子が喜びそうな道具立てで、日本映画離れした物語世界なので、正直理解に苦しむ点もある。
 演出スタイルについても次作の「いつか読書する日」の完成度の高さには及ばず、1本の映画としての劇的カタルシスには乏しいが、藤間宇宙という少年が喉を守るためにいつも首に白い布を巻きつけている様子がエロティックで、妙に70年代的に見えるのは、「帰ってきたウルトラマン」の市川森一による傑作エピソード「悪魔と天使の間に・・・」の少年に擬態した宇宙人が首を撃たれる姿や「少年と怪獣使い」のメイツ星人の首に巻いた包帯(?)などを想起させるからだろうか。そういえば、過激派学生の成れの果てとして、ダイナマイトで自爆する女闘士を演じるのが、同じく市川森一NHKで書いたファンタジー「 あなたの中で生きる」でヒロインを演じた滝沢涼子であるというのも妙な符号だ。

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