ボーン・アルティメイタム ★★★

THE BOURNE ULTIMATUM
2007 スコープサイズ 115分
TOHOシネマズ二条

 いよいよ大団円を迎えるボーンシリーズ。ポール・グリーングラスの演出もヒートアップ気味で、前作にも勝る激烈なカッティングで、いったい何が起こっているのかわからないほど。実際、物語自体は非常に単純に整理されており、お話の単純な部分を激しいカッティングで誤魔化しているようにも見える。ラストに明かされるボーン誕生の秘密など特に意外性も無く、アクション映画の物語性としては前作に劣る。とにかくガラガラとフィルムを回してアクションシーンを大量のカットに分割し、ドキュメンタルな臨場感を強調する演出だ。この映画では演出よりも、編集が優位に立っており、編集のクリストファー・ラウズは確かに凄い仕事をしている。

 しかし、この映画で味わえるのはアクション映画のカタルシスというよりも、目にもとまらぬ体技と、実際の交通事故を体験しているかのようなカーアクションの轟音に彩られたクラッシュシーンといった大味な見せ場に傾いている。そのなかで、ジョアン・アレンデヴィッド・ストラザーンが辛うじて知的な人間像を表現して、説得力をもたらしている。特にジョアン・アレンがカッコいいので個人的には嬉しい。1956年生まれだから51歳ですよ。痺れます。惚れます。

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