やくざ戦争 日本の首領 ★★★☆

やくざ戦争 日本の首領
1977 スコープサイズ 132分
DVD
原作■飯干晃一 脚本■高田宏治
撮影■増田敏雄 照明■増田悦章
美術■井川徳道 音楽■黛敏郎伊部晴美
監督■中島貞夫

 大阪の中島組は総合商社アベ紡のトップに食い込みながら東京進出を図るが、関東勢の抵抗にあうとドンはファミリーの結束を守るため、組内の過激派を切捨てはじめる・・・

 山口組の田岡一雄をモデルとして、日本版ゴッドファーザーを目指して製作された東映男の系譜30年の集大成。佐分利信が主役を演じ、鶴田浩二千葉真一松方弘樹成田三樹夫が脇を固め、関東勢は菅原文太が筆頭を勤めるオールスターキャスト。

 特に、後半でファミリー優先の姿勢を打ち出して、過激派の千葉真一を切り捨て、大番頭格の鶴田浩二にも引導を渡すクライマックスが圧巻で、組織の非情さ、トップ判断の冷酷さをよく描き出している。こうした論旨は実録映画ではおなじみのものだが、本作はその主張がクライマックスに劇的によく昇華されているため、出色の出来となっている。千葉真一が鶴田に組への幻滅を明かす面会場面など名シーンといえるし、医師でありながらヤクザファミリーに過剰適応する高橋悦史の決断と佐分利信との共犯関係が打ち出されるラストの衝撃など、高田宏治の見事な作劇に感動する。鶴田浩二のくたびれた初老の幹部の役作りも出色で、これは見事な性格俳優の演技であった。

 とにかくにぎやかな男優陣のやりすぎ気味な熱演が清々しいし、日本社会の一段面をリアルに捉えたその視点の貴重さは特筆に価する。ドキュメンタリーではなく、劇映画としてこうしたホットでデリケートな社会的問題を娯楽として供するという方法論の尖鋭さは、今の日本映画界の状況と比較するとまるで別世界のような気がする。

 会社トップの下半身スキャンダルをもみ消すために暴力団を積極的に導入する西村晃という役どころが、ひりひりするようなリアリティを帯びており、見ていて怖いほどだ。


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