バブルへGO!! タイムマシンはドラム式 ★★★

バブルへGO!! タイムマシンはドラム式
2007 ヴィスタサイズ 116分
DVD
原作■ホイチョイ・プロダクションズ 脚本■君塚良一
撮影■松島孝助 照明■吉角荘介
美術■清水剛 音楽■本間勇輔
特撮監督■尾上克郎 VFXプロデューサー■大屋哲男 VFXスーパーバイザー■道木伸隆 
監督■馬場康夫

 タイムマシンを偶然発明した研究者(薬師丸ひろ子)は、17年前の世界に飛んで、日本経済の危機的状況を解消すべくバブル崩壊のきっかけとなった大蔵省の通達の発表を食い止めようとするが音信不通となる。計画の首謀者、財務省の役人下川路(阿部寛)は、研究者の娘をスカウトして母親の救出に向かわせるが・・・

 馬場康夫という監督は、もともと素人監督として登場して、映像表現云々というよりも日本映画を戦略的に売るという命題の研究成果の実現というスタンスで映画を作っている人間だ。その意味で、監督というよりも、実質的にプロデューサーとしての役割のほうが大きい。だから単純に映画の演出として観れば、本作も不器用すぎて恥ずかしくて見ていられない場面が頻出する。特に、バブル期にタイムトリップした広末涼子が時代ギャップで笑いをとる場面やダンスの場面など、アメリカ映画なら自然と成功してしまう部分について、ことごとく間が抜けており、こうした箇所は日本映画の伝統的な弱点を律儀に継承していると言える。

 正直、主演の広末涼子という存在自体が、脱皮し切れなかったアイドルという印象で非常に中途半端な存在であり、当然未婚の二十台前半というヒロインを演じられると、笑っていいのかどう観るべきなのか、非常に困惑してしまう。もちろんアイドルではありえないし、かといって女らしい色気があるかといえば、これまた不思議なほど色気が無いという、なんとも始末におえない代物だ。

 90年の六本木や湾岸の情景を描き出すのにデジタル合成やミニチュアが使用されてるのだが、カットによっては非常に不出来な部分があり、これも失笑を誘う。特に六本木付近のデジタル合成はあまりにも平板で、冗談に見えてしまう。研究所の上方にレインボーブリッジを合成したカットも、あまりにわざとらしい。というか、わざわざ80年代の特撮映画のオプチカル合成カットを模倣した演出だろうか?

 しかし、個々のシーンの演出のまずさにもかかわらず、ちゃんと納得できる大団円を迎えるから君塚良一の脚本は決して悪くない出来だ。バブルを否定するのではなく、バブル経済をソフトランディングさせていれば、日本経済は平成不況に陥ることもなかったはずという信念に基づいた物語だが、実際にソフトランディングしていたら、バブルの価値観がそのまま温存されることになり、それはそれで退廃を招いたはずだと思うのだが。

 最近やたらと出まくっている阿部寛も「自虐の詩」とは当然180度方向性の異なる役柄で、きちんと笑いをとるし、バブルの権化と化した吹石一恵の根性に感心した。さすがに円谷プロで宇宙人を演じたキャリアは伊達ではない。

 製作はフジテレビ、電通他、制作はシネバザール。

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