「出会いがしらの、ハッピー・デイズ」

 小林信彦の時評的エッセイ第三集。2000年のエッセイを編んだもの。
 橋本治が新潮臨時増刊に寄せた「『三島由紀夫』とはなにものだったのか」が紹介されている。その後、単行本として出版されたものだろう。未読だが、ちゃんと文庫になっているようだ。引用される橋本治の「三島由紀夫が生きた時代は、作家がえらかった最後の時代である。」とは誰もが感じる実感のこもった言葉だ。
 現在、作家も学者も、昔のような威厳とか、近寄りがたい孤高の雰囲気とか、知性に対する畏怖といったものが綺麗さっぱり消え去ってしまって、マスコミの悪影響で日本人は何でもかんでも突出した存在は自分と同等かそれ以下に引き摺り落として、自分の不勉強や怠惰や無能さを反省せずに、安易に安心したがるようになった。自分の存在感を脅かす大きな知性に対する畏怖の感覚を失って日本人は確実に自堕落になったのではないか。

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