河童
1994 ヴィスタサイズ 118分
DVD
脚本■末谷真澄
撮影■長谷川元吉 照明■森谷清彦
美術■部谷京子 音楽■金子隆博
SFXスーパーバイザー■秋山貴彦 SFXプロデューサー■杉村克之 タイトル■中野稔
監督■石井竜也
封切りの時に1回見て以来だから、13年ぶりということになるが、改めて観るとさすがに脚本のきつさが目に付く。特に後半は粗筋脚本で、まあ作劇の骨組みしかない状態だ。人物設定も類型的で掘り下げが無く、人間像にふくらみが無い、いかにも世間知らずの若者(そんなに若い脚本家でもないが)が机上で創り上げたという印象で、足腰の弱さ、経験不足が露呈している。石井竜也の演出は、それなりに頑張っており、よく撮ったというロケ撮影のいい画も多いのだが、広角レンズを使ったフルショットをやたらと多用するのは、いかにも当時のB級映画小僧っぽくて恥ずかしい。
CGの使い方が非常に巧く、河童のフルショットを中心に使用されているのだが、従来なら人形アニメに頼るところをCGに置き換えて使用している感じだ。しかも、洞窟内の異様に暗い照明設計のなかで、シルエット気味、あるいは闇に溶け込んだ形で合成しているので、意外なほどバレていない。この時期の技術的な限界を知悉した映像設計で、これには感心する。逆に、ラストの宇宙船のモーションコントロール撮影は、アニメーションスタッフルームの担当だが、今ひとつ。