NIGHT OF THE DEMON(『悪魔の呪い/悪魔の夜』) ★★★☆

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NIGHT OF THE DEMON
1964 ヴィスタサイズ 95分
輸入DVD


 悪魔崇拝者の恐怖をサスペンス豊かに描いた日本では劇場未公開の怪奇映画の傑作「CURSE OF THE DEMON」は過去の記事で紹介済みだが、ここで情報を整理、補足しておきたい。
maricozy.hatenablog.jp
 まず、本作はイギリスで先に「NIGHT OF THE DEMON」として公開され、その短縮版が「CURSE OF THE DEMON」としてアメリカで公開されたものだ。現在手に入る輸入DVDはその両作を収録し、画質も最高だし、リージョン1と表記されているのに、実際は日本のプレーヤーで再生可能で、しかも日本語字幕が収録されているという優れものである。
 上記の昔の記事では、アメリカ公開版では無理やり巨大怪獣のような悪魔の襲撃場面を新撮して付け加えたと書いているが、このDVDを観る限りは、両作ともに巨大な悪魔の特撮場面は含まれており、無理やり追加したようには見えない。確かに、ミニチュア、着ぐるみ特撮を廃して、悪魔の気配だけをモノクロ映像の演出で描き出すことは、ジャック・ターナーの演出力であれば十分に可能であったはずだが、事実はそうではなかったようだ。やはり、オリジナルのイギリス版の時点で、スタジオからの圧力で、特撮による直接描写を余儀なくされたということなのだろう。
 アメリカ版でカットされたのは、悪魔崇拝カルト教団の教祖カーウィンとその悪事を何とかやめさせようとする母親の対立を描いた短いが重要な場面や、呪殺ツールである、ルーン文字を記した羊皮紙を兄から渡されるがそれを兄に密かに送り返したせいで兄が悪魔に取り殺されてから精神的に破滅してしまった農夫の弟の実家を主人公が訪ね、悪魔崇拝者の生活観を短いシーンで衝撃的に描き出した場面などである。アメリカのカット版では、カーウィンの母親の存在感とその行動目的が中途半端になってしまう欠点があり、この母親の醸し出すイギリス的なユーモア、特に降霊会の場面など傑出しているのだが、その意味付けが曖昧になってしまう。サスペンスのあり方にもこうしたユーモアを織り交ぜるあたりは、如何にもイギリス映画らしい滋味が隠されている。
 ただ、カーウィンに呪殺のお札を渡されてしまうダナ・アンドリュースがガチガチのアメリカ的合理主義者で、ほとんど恐がらないし、シリアスな心身的ダメージを受けないというところが、サスペンスを減衰させてしまっている。