ZODIAC
2007 スコープサイズ157分
MOVIX京都
久しぶりにどこが面白いのか、徹頭徹尾まったく分からない映画に出会ってしまった。デビッド・フィンチャーという監督、これほど鈍い監督だったとは。犯罪実録映画は、傑作の多いジャンルで、例えばリチャード・フライシャーの「絞殺魔」、ポン・ジュノの「殺人の追憶」などという傑作、大傑作も記憶に新しいのだが、ゾディアック事件という飛び切りの象徴的大事件を扱いながら、この至らなさはどうしたことなのか。
まず脚本の狙いが悪いは確実だろう。映画は、ゾディアック事件によほど興味を持っている特別な人間にしか面白さが感じられない映画になっている。それは芸術的な難解な映画というわけではなく、あくまで劇化に失敗した劇映画というに過ぎない。
事件の経緯自体にサスペンスが無いし、事件に関わる3人の主要人物のドラマが全く劇としてして成立していない。しかも、150分を超す長尺だ。途中で眠らずに見続けるには相当な努力が必要だ。いったい、この映画は誰に見て欲しいのか?この脚本家は作劇ということが理解できているのか?ドキュメンタリーとしても稚拙、劇映画としても拙劣というどうしようも無い映画だ。
ハリス・サヴィデスの時代がかった黄色を基調とした映像設計は、さすがにハリウッドの大作だけあって贅沢で、見ごたえがあるのだが、それくらいしか取り得の無い映画である。
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参考
個人的にこれほど評価が一変した映画も珍しいと思う。デビッド・フィンチャーの手法とスタイルには慣れが必要ということか。完璧主義者というよりも、一点一画を揺るがせにしない、ものすごい偏屈な頑固職人というイメージが適切だと思う。それが腑に落ちたら映画が急に面白くなった。
maricozy.hatenablog.jp