QUATERMASS AND THE PIT
1967 ヴィスタサイズ 97分
輸入DVD
ロンドンの地下鉄工事現場から人骨が発見される。しかしそれは500万年前の猿人の化石だった。さらに、同じ地層から謎の金属体が発見され、軍部はナチスドイツのロケットだと断定して爆破しようとするが、クオーターマス博士たちは、宇宙船ではと推理する。案の定、金属体の中からイナゴ様の生命体の死体が発見され、博士たちは火星人と断定する。博士は、脳内の映像をディスプレイに表示する新装置を使って、宇宙人の思惑を知ろうとするが、テレビに映し出されたのは、火星の最終戦争の様子だった。軍部が宇宙船に通電したため、ロンドンの上空には悪魔のような火星人の巨大な幻影が出現し不可解なエネルギーが街を破壊してゆく。人々は狂気に支配され、街を徘徊する・・・
SFと怪奇映画のハイブリッドとしてつとに有名なハマーフィルムのB級映画だが、輸入版DVDには英語字幕もクローズド・キャプションも収録されていないため、物語の半分も理解できないというお粗末。画像は美麗なのに、惜しいなあ。
地球人は火星人に遺伝子操作で進化させられたとか、火星人の姿が悪魔のイメージとして人類に刷り込まれているとか、楽しげなギミックが満載で、物語としては気宇壮大なのだが、舞台となるのは、ロンドンの下町の一角に限定され、地下鉄のセットも実にコンパクト。こうしたところがイギリス映画ならではの箱庭的な雰囲気を醸し出す。SF的なギミックとオカルティズムを融合させた力技が見所で、確かに「スペース・バンパイア」のジャンル不明なハイブリッドな当惑は、この映画に端を発していることがよく分かる。
クライマックスにはミニチュアの建物が崩壊する見せ場もあるが、アメリカ映画的な世界観とは大幅に異なるり、こじんまりとしたラジオドラマといった店構えなので、くれぐれも勘違いしないように。