エド・ウッド ★★★☆

ED WOOD
1994 ヴィスタサイズ 124分
BS2録画


 大分以前にビデオで見ただけだったが、久しぶりに再見するとなかなかの佳作。エド・ウッドという楽天的で風変わりな性癖を持つ、しかし映画の才能は持ち合わせない映画監督をとおして、時代から忘れ去られた往年の怪奇俳優ベラ・ルゴシの零落した晩年を深い感慨を込めて描き出す部分に鬼気迫るものがある。

 マーチン・ランドーはまさしく名演で、ベラ・ルゴシという怪優を見たことがない者でも、こうあったにちがいないであろう、その怪奇演技をまるでその主演作を見たかのように思い浮かべさせる喚起力を持っている。ヴィンセント・プライスベラ・ルゴシピーター・カッシングといった怪奇映画の名優たちに対する素朴な畏敬の念を極めて素直に自作に封じ込めずにはいられないティム・バートンの姿勢には共感を憶えずにはいられないが、オーソン・ウェルズの登場するクライマックスはあまりに安易な印象を与える。エド・ウッドオーソン・ウェルズを対比させるアイディアは慧眼だが、その劇化は少々安直過ぎる。

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