実相寺昭雄監督、急逝

 特撮者にとっては、絶対にその影響を免れられない、実相寺昭雄監督が胃がんで急逝した。確かに、一時期体調の不良が報じられていたが、その後監督業に復帰し、「シルバー假面」などを手がけ、身体はすっかり復調したものと思っていたので、やはり唐突な訃報で驚かされた。何しろ、まだ69歳なのだ。早すぎる死だ。
 東京芸術大学*1を退官ののちは、コダイの経営を危惧して監督業に旺盛な意欲を湧かせて、近年も「ウルトラQ・dark fantasy」*2や「ウルトラマンマックス」などの円谷プロ作品に登板し、往年の神通力は感じられないものの、実相寺スタイルの健在を頑固にアピールしていただけに、何としても残念なことだ。
 やはり、実相寺監督の全盛期は第1期ウルトラシリーズから怪奇大作戦へ至る時代にあり、その後のATG映画は正直言って、多々疑問があるのだが、その中では「哥」が印象に残っている。「形が大事なんです。形さえあれば、喪われた魂もいつかまた宿ることができるんです」と搾り出すように叫ぶ篠田三郎の姿は、実相寺の切実な心情吐露として含蓄があり忘れられない。円谷プロウルトラシリーズを作り続けるのも要はそういうことなのだろう。
 今頃は、円谷英二円谷一大木淳佐々木守岸田森小林昭二といった旧き仲間たちと再開しているのだろうか。合掌。

*1:演奏芸術センター教授としてオペラの演出などを教えていたらしい。

*2:小中千昭と組んで「ヒトガタ」と「闇」の2本を監督した。特に「ヒトガタ」は佳作だが、脚本どおりの結末だったらもっと良かったかも。

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