学校Ⅱ ★★★☆

学校Ⅱ
1996 ヴィスタサイズ 128分
DVD
脚本■山田洋次朝間義隆
撮影■長沼六男 照明■熊谷秀夫
美術■出川三男 音楽■冨田 勲
監督■山田洋次


 養護学校から高志(吉岡秀隆)と佑矢(神戸浩)の姿が消えた。行方を追うベテラン教師(西田敏行)と新米教師(永瀬正敏)は必死で彼らの痕跡を辿るが・・・

 「学校」シリーズ第2弾は、養護学校の生徒と教師の姿を追って、あまり知られることのない養護学校という存在に山田洋次が言及する。

 前半は手に負えない乱暴もので糞尿を垂れ流す佑矢という生徒が高志と触れ合うことで学校に馴染んでゆくエピソード、後半は学校では優等なその高志がクリーニング会社の見習いで失敗しナイーブに傷つくエピソードが、教師2人による捜索も模様とカットバックで描かれ、ラストは雪原での熱気球で締めくくられるという構成になっている。親以外言う事を聞かない佑矢が高志に心を開く場面など、さすがに手だれの作劇と演出で名場面になっているし、比較的障害が軽いせいで、自分が健常者に追いつけないことを認識できるばかりに傷つく高志の姿を的確に描き出すあたりも正攻法で巧いものだ。

 ラストの卒業式の場面では、学校を卒業し、生徒達がそれぞれの行き先でこれから直面するであろう差別や偏見に対して、養護学校の教師たちが無力であることを誠実に認識して、永瀬正敏の生硬な台詞や、西田敏行の後姿によって描き出しており、よくできた作劇で掬い取ることのかなわない、生徒達の外に広がる世界との関わりに対する切なさを打ち出しているのに感動する。

 西田敏行永瀬正敏の関係描写は、紋切り型に陥りがちな気配を漂わせながら、ラストに到って奇麗事では済まされない現実の重みを伝えることに成功している。「学校Ⅳ」ほどの傑出した作品ではないが、難しい素材に挑んだ佳作である。

 ほとんどどうでもいいことだが、西田敏行の娘は浜崎あゆみだし、クラスメートの中には吉本新喜劇小薮千豊やTBSドラマで活躍した鈴木美恵の姿も見える。

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