スケバン刑事 コードネーム=麻宮サキ★★☆

スケバン刑事 コードネーム=麻宮サキ
2006 ヴィスタサイズ 99分
MOVIX京都(SC9)
原作■和田慎二 脚本■丸山昇一
撮影■小松高志 照明■渡辺三雄
美術■山粼秀満 音楽■安川午朗
VFXスーパーバイザー■道木伸隆 アクション監督■横山誠
監督■深作健太


 初代スケバン刑事斉藤由貴)の娘がアメリカから強制送還された。母の解放を条件に臨時スケバン刑事に任命された娘は、麻宮サキを襲名し、謎のサイト、エノラ・ゲイの目論む陰謀を探るため聖泉学園に潜入する。イジメられっ子と仲良くなったサキは事件への糸口を掴むが・・・

 なんで今頃復活するのか企画意図が不明な本作は、フジテレビではなくテレビ東京が出資しているハロプロ・アイドル映画だ。オリジナルシリーズは”セーラー服は学園の戦闘服だ”という名コピーを残したが、松浦亜弥もその伝統を踏襲してセーラー服で学園に潜入する。(潜入になってませんが、それも伝統です)しかも、クライマックスではセーラー服のイメージを残した戦闘スーツを披露して、サービス満点。松浦亜弥の演技と、そのコスプレ指数には、ほとんど何の不満も無い。

 なのに、なぜ星が2つ半なのか。それはひとえに悪役の設定、造形の拙さにある。渋谷の交差点で爆弾を括りつけられた女子高生が衆人環視のなかで爆死し、その体から飛び出したヨーヨーが渋谷の宙に舞う導入は素晴らしいのに、そもそもいじめをトバ口に持ってくる発想の陳腐さがケチの付け始めで、窪塚俊介率いる悪役グループの目論見も、組織構成の意味も、何も判らないし、映画で語られていることが全てとするならあまりにも幼稚な悪役だ。演出は窪塚俊介に一種のカリスマ性の発揮を求めているのだが、それが役者としてのキャリア不足のせいで、意味ありげでスカした演技になってしまい、若手の役者がもっとも嫌われる悪いパターンに陥っている。お前いったい何様のつもりだ、と全国一千万人(?)のアクション映画ファンに突っ込まれること必至だろう。サキがこの男に心引かれるという場面も説得力が無く意味不明だ。このあたりの浅薄さは、監督の若さによるのだろう。これがベテラン丸山昇一の筆によるものなら、かなり絶望的だ。アクション映画に最も有害なものはスカした悪役なのだ。往年の東映映画、仁侠映画でも実録ものでもいいが、悪役がいかに真正面から主人公に敵対したか、思い起こすといい。そもそも、スケバン刑事シリーズの映画版ではもっと大規模な悪と戦っていたはずなのだ。こんな校内イジメに毛の生えたような意味不明な犯罪計画など、映画の主題とする値打ちが無い。いくらVaricam撮りの低予算映画とはいえ、若い監督の構想する主題としてはあまりに小さすぎる。

 と、散々文句は言っておくが、所々のVFXは安っぽいものの、ヨーヨーアクションのビジュアルはさすがにオリジナルを凌駕する見所で、横山誠のアクション演出、松浦亜弥というよりもそのスタントウーマン(昔は男性スタントだったが、今回はさすがに女性のようだ)は随所に素晴らしい切れ味を見せ、素直にカッコいい。クライマックスまで引っ張ったスケバン刑事の名乗りも、その値打ちのある見せ場で、イカス。よく考えた。石川梨華も気合の入ったアクションを披露するが、このキャラクターも杜撰な造形のせいで、生かしきれていないのはちょっと気の毒。

 興行的には苦戦中のようで、2作目が期待できそうに無いが、是非このビジュアルでさらに弾けたアクションを見せてほしいところだ。きっと、松浦亜弥のピンチに斉藤由貴が駆けつけ、母子二代のスケバン刑事の競演が見られるはずだ。

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