X-MEN ファイナル・ディシジョン ★★★★

X-MEN: THE LAST STAND
2006 スコープサイズ 105分
ユナイテッドシネマ福岡(SC10)


 ブライアン・シンガーが「スーパーマン・リターンズ」に着手してしまったためにお鉢が回ってきたブレット・ラトナーだが、アクション演出のセンスが無いブライアン・シンガーにかわって、アクション映画の正しい作り方を披露したシリーズ第3作目は、シリーズ随一の傑作となった。このところ3部作もののハリウッド大作が多いのだが、納得のいく3作目は、これがはじめてだ。
 もちろん、大勢のキャラクターにすべて真っ当な決着が用意されているわけではないが、今回の要となるジーンの自宅をマグニートーとエグゼビアが訪れる冒頭からして、ブライアン・シンガーにはほとんど感じられなかったアクション映画の作劇が息づいており、実際、この場面と対照させるかたちで中盤に大きな見せ場が用意され、シリーズ中の名場面となっている。
 ブレット・ラトナーの明快さを求める演出態度に、撮影監督のダンテ・スピノッティも音楽のジョン・パウエルもよく応えており、特にジョン・パウエルの、愛のテーマ(?)とでも呼ぶべき楽曲は、この映画の情感の基本線を確立し、クライマックスを素直に感動的なシーンに仕立て上げることに成功している。これまでのブライアン・シンガー組の中途半端に生真面目な窮屈さ(演出も音楽も含めて)が一掃され、すべてのアクションとメロドラマが生き生きと息を吹き返して荒々しい鼓動を脈打っている。「ラッシュアワー2」でジャッキー・チェンクリス・タッカージョン・ローン、チャン・ツィーという大物を見事に小気味よく捌いた采配ぶりは伊達ではなかったのだ。
 今回の作劇の目玉は、超A級の超能力を持つジーンがあの世(悪魔、地獄・・・)と繋がってしまうという部分で、超能力と悪魔の力の対決に、ウルヴァリンジーンのメロドラマを絡めて描き出す、いわば「スペース・バンパイア」の再話という趣の怪奇映画になっているのがミソだ。
 しかも、今回のマグニートーの活躍ぶりは息を呑む素晴らしさで、金属を自在に操る能力を極までに増幅して見せた演出は絶賛に値する。この映画を観れば、大の大人でも絶対にマグニートーごっこをしたくなるはずだ!イアン・マッケランケレン味たっぷりの大芝居で、大活劇の火に油を注ぐ。
 クライマックスのアルカトラズ島の戦闘場面は単なる物量合戦ではなく、互いの技と能力のぶつかり合いの演出方針が徹底され、大量のVFXが演技の一環として見事にドラマの中に定着している。
 今回初登場の背中から白い翼を生やした青年のエピソードも、短いながらも簡潔に配置され、このシリーズにおけるミュータントの意味合いを少し変化させることで、シリーズを収束しようとする意図がうかがえる。そもそも、ブライアン・シンガーはミュータントを異能故の被差別者として定義するところからシリーズを立ち上げたが、本作ではミュータントの異能を才能と完全に読み替えて、人と異なる才能に自分でどう立ち向かうかという点にテーマを絞り込んでいるようだ。それが暴走するジーンに対するウルヴァリンの決着のつけ方にも集約されている。陳腐なシチュエーションだが、感動的なクライマックスに描きあげてみせたブレット・ラトナーの演出力はただごとではない。
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