美しき母 ★★☆

美しき母
1955 スタンダードサイズ 98分
高槻セントラル 
原作■林 房雄 脚本■浄明寺花子
撮影■山田一夫 照明■西川鶴三
美術■北川恵笥 音楽■中田喜直 特殊技術■東宝技術部 
監督■熊谷久虎


 父親が鉱山に手を出して没落した裕福な家の母子は田舎の元女中の家に厄介になることに・・・ 
 主人公と美しい母(原節子)の苦しかったが幸福だった時代を回想して叙情的に描き出した掌編。タイトルは”うるわしき”と読む。上映時間が98分もあることになっているのだが、物語は単純で随筆的なタッチで綴られているので、もっと短く感じる。初恋にもまだ到達しない、初恋以前の母親と少年との濃厚な時間が少年の心象風景として描かれる。名品というよりも、衛星放送などのコンテンツとして発掘された珍品というべき作品だろう。
 少年との対比で、原節子の背の高さが際立って美しく、原節子の女優としての個性が素のままに発揮された作品といえる。

© 1998-2024 まり☆こうじ