子供じみた下品なギャグの釣瓶打ちで、途中で辟易するかと思いきや、見事に痛快なアクション映画に転化したのは、何時に無く軽快に突き抜けた鏑木創のテーマ曲の秀逸さに負うところが大きいだろう。
千葉真一、郷英治、佐藤允のでこぼこトリオのコミカルな、しかし相当にむさ苦しい活躍に、池部良配下の美形中島ゆたかが綺麗な華を添えて、この取り合わせの妙がB級映画らしい幸福感を保証している。中島ゆたか、マジに綺麗っすよ。ちょっと整いすぎなせいで損をしている気がするが。でも、あんなことやこんなことまでやらされて、まるでチャウ・シンチーのような女優扱いだ。
札びらが華麗に舞い散り、廃車が派手に燃え上がるクライマックスのアクションシーンにはいつの間にか志穂美悦子が飛び入りして、丹波哲郎がまるで多羅尾伴内のようにお馴染みの正体暴露を演じれば、そこには東映映画の桃源郷が現出し、有無を言わせぬアクション映画の面白さで観る者を圧倒する。この強靭さが東映映画の生命線であり、この精神を見失うときが、日本人が東映映画を必要としなくなるときなのだろう。