シン・シティ ★★★

SIN CITY
2005 スコープサイズ
TOHOシネマズ二条(SC9)


 ノワールなスタイルを持つコミックの映画化で、3つのエピソードからなる犯罪映画だが、物語自身よりも映像スタイル重視で、メリハリの”メリ”が無く、”張”ってばかりなので見ていて疲れる。

 しかも、犯罪というよりも、バイオレンスと猟奇に力点が置かれており、汚辱の中に生きるブルース・ウィリスミッキー・ローク、クライブ・オーウェンのまさに劇画チックな生き様、死に様が描かれる。ミッキー・ロークなんて特殊メイクでほとんどフランケンシュタインの怪物なので、誰だか判らないほどだ。

 デジタル技術を駆使したモノクロ様式という方法論は既に「スカイ・キャプテン」で大きな成功を収めているが、今回はさらに劇画調の映像構成で、こちらも完成度は高い。このあたりは監督のロバート・ロドリゲスの才能のなせる業だろう。だが、えげつない描写の面白さが映画としての面白さと必ずしも結びついていないのが苦しいところだ。

 ジェシカ・アルバやデヴォン・青木といった女優陣が健闘して眼福というものだが、ロバート・ロドリゲスの無駄に多彩な才能は、今後どこに収束するのだろうか。

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