『パッチギ!』

基本情報

パッチギ!
2005/VV
(2005/1/23 MOVIX京都/SC2)
原案/松山 猛 脚本/羽原大介井筒和幸
撮影監督/山本英夫 照明/高村 智
美術/金田克美 音楽/加藤和彦
監督/井筒和幸

感想(旧HPより転載)

 68年の京都。高校生の主人公(塩谷瞬)は偶然出会った朝鮮高校の女生徒(沢尻エリカ)に一目ぼれ。だが、彼女の兄は武闘派の暴れん坊で近隣の日本人高校生たちと抗争を繰り返していた。彼女の演奏していた「イムジン河」の曲を手がかりにフォーク音楽へと傾倒してゆくが、日本人と在日挑戦人の間に横たわる深い溝の存在を認識してゆく・・・

 政治の季節であった1968年の京都を舞台として初心な高校生が在日問題に触れて自意識を芽生えさせてゆく様を音楽と暴力の綴れ織として描き出した青春映画で、井筒監督の音楽映画の才能と偏愛する暴力映画の記憶が混在とした熱い映画に仕上がっている。実は「ゲロッパ」も未見なのだが、「のど自慢」以来の快作であり、ウェルメイドな意欲作である。

 主演の塩谷瞬はどうもにやけ過ぎという印象でハリケンレッドのほうが凛々しかった気がするが、所謂ゼロ番地の住人を演じる若手俳優の演技が皆素晴らしい仕上がりで、脇役として登場する好漢ケンドーコバヤシもおいしい役どころ。

 全編京都ロケらしく、特に京都市民にとってはおなじみの風景、鴨川、西部講堂出町柳、八千代館といった時代を超えた風景が映画の中に68年を成立させている。なかでもイムジン河と呼応する形で重要な位置づけとなったのが鴨川の存在で、この映画のテーマともいえる大きな扱いとなっている。しかしそれらの風景はある意味でピンポイントで、街全体の熱さを再現するには至っていない。西部講堂での過激派学生の集会などもパロディ的に扱われていることからも、その困難さがうかがい知れるだろう。ゼロ番地の表現も実際のリアルな姿はあんな牧歌的なものだったのだろうか。

 高岡蒼佑、尾上寛之、真木よう子波岡一喜といった若手注目株の熱演を観るだけでも観る価値ある誠実な映画だが、京都人は必見といっておこう。

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