『かあちゃん』

基本情報

かあちゃん
2001/ビスタサイズ
(2001/11/10 京極東宝2)
原作/山本周五郎 脚本/和田夏十竹山洋
撮影/五十畑勇幸 照明/下村一夫
美術/西岡善信 音楽/宇崎竜童
監督/市川崑

感想(旧HPより転載)

 とある貧乏長屋に泥棒に入った青年(原田龍二)が父のないその家の一家五人を支える気丈な母親(岸恵子)に説得されて居候の身となり、長屋中から吝嗇と陰口をきかれながらも一家が蓄財に奔走する真実の訳を知り、善意の一家に居たたまれなくなって、何度も姿を消そうとするのだが・・・

 「東芝日曜劇場」で宮川一郎の脚本、鴨下信一の演出で観たかったと思わせる人情時代劇の小品だが、市川崑の最近の作品では出来の良い部類に入るだろう。「どら平太」も案外悪くはなかったので、脚本さえしっかりしていればまだまだ市川崑の演出も捨てたものではないことがよく分かる。なにしろ「四十七人の刺客」は酷かったものなあ。

 かなり古風な人情劇に和田夏十らしく視点に捻りを加えたものだが、おそらく市川崑竹山洋の加筆前のほうがより洗練された脚本であったはずだろう。近年の、というか和田夏十が脚本のクレジットから姿を消して以降の市川崑作品に顕著な露骨な説明癖はこの作品でも所々に白々しく浮き上がっている。

 原田龍二が適役であったかどうかも疑問が残るし、岸恵子は何よりも老けすぎだし、宇崎竜童の劇伴は古風な人情劇をあまりにもクールに突き放しすぎるように思える。

 やはり、日本映画全盛期の時代劇俳優たちによって演じられていれば、とつい夢想してしまうのは、無い物ねだりというものだろう。

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