『昼下がりの情事 古都曼陀羅』

基本情報

昼下がりの情事 古都曼陀羅
1973/スコープサイズ 68分
(2001/3/17 レンタルV)
脚本/中島丈博
撮影/前田米造 照明/川島晴雄
美術/松井敏行 音楽/西水一二三
監督/小沼 勝

感想(旧HPより転載)

 京都に赴任して間もない銀行員(風間杜夫)は見合い相手の娘(山科ゆり)に激しく惹かれてゆくが、彼女は養父である画家(坂本長利)の性の奴隷だった。若い男に抱かれた娘の肉体に対する嫉妬のなかから凄絶な画趣を見出そうとしていたのだ。

 日活ロマンポルノの比較的初期の作品で、当然ながらちゃんと京都ロケを行った幻想的な小品。主人公の女性が本当の恋を知り、因習に縛られた京都の街を後にひとり旅立つまでの姿を小沼勝独特のイメージショットのモンタージュで綴ったれっきとした女性映画である。

 特に最初の濡れ場に至るまでの導入部分の京都ロケと画家の住まいのステージ撮影が素晴らしく、雨の京都の情景を巧みに切り取った前田米造キャメラワークには惚れ惚れする。当然セットの数は少ないのだが、ステージ撮影の美術装置も本格的な質感を湛えており、照明も妙に立派なのだ。

 京都を舞台にして謎を秘めた女との恋とその破局を幻想的に描くといえば、いやでも実相寺昭雄の傑作「京都買います」(@「怪奇大作戦」)を想起しないわけにはいかないのだが、実際この作品にも意識的か無意識的かは知りようがないが、相当に「京都買います」の残り香が漂ってくる。

 高校生の養女に性の快楽を教え込み、弄び続ける変態画家なんて、まさに実相寺昭雄の趣味そのものだし、クライマックスで娘を失ったことを知った画家の狼狽の様子は、「京都買います」と同時に撮影された「呪いの壺」のラストで血を吐くように贋作の壺を割り続ける主人公の父親にそっくりではないか。

 いかんせん、脚本的にはもう少し描き込みが欲しいところなのだが、縄、雨、赤、蝋燭といったディテールが今なお淫靡な京都幻想を掻き立ててやまないという意味では、京都ロケ映画の白眉なのかもしれない。
 小沼勝赤江瀑を映画化するなんて、企画は当時の日活にもなかったのだろうか?

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