『暗殺の森』

暗殺の森(1970)

感想(旧HPより転載)

 男色家の男に関係を迫られて撃ち殺してしまったことがトラウマとなった男は体制に順応することのみを志向して、ファシスト党の秘密警察となり、フランスへ亡命した恩師の暗殺を命じられるが、恩師の美貌の妻との再会が彼を逡巡させる。

 ベルトリッチの最高傑作と評判高い作品で、このビデオは完全版ということだが、どのシーンなのかは不明。

 1970年の作品でもあり、もっと政治的で観念的な難解映画かと思いきや、政治劇というよりもむしろ同性愛映画としてのモチーフが濃厚で、ほとんどやおい系。イタリア人って男色傾向?

 殺したとばかり思っていた男が生き延びていて、相変わらず美少年をたぶらかしているラストのダメダメぶりは、筆舌に尽くしがたい。主人公でなくても、絶望するぞ。

 クライマックスの森の中での暗殺シーンは黒沢清の「蜘蛛の瞳」でそのまま引用されたが、今観れば黒沢清の演出のほうがもっと過激だ。

 新婚旅行の列車内でスクリーンプロセスの背景の前で、甘美なメロディにのせて主人公たちがいちゃいちゃするシーンなんてほとんど大林調だし、ベルトリッチという人も全くつかみ所がないな。

(2000/2/19 ビスタサイズ V)

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