『エネミー・オブ・アメリカ』

基本情報

エネミー・オブ・アメリカ
(ENEMY OF THE STATE)

感想(旧HPより転載)

 国家の保安のため個人のプライバシーを監視する法案を可決させるためにJ・ヴォイトが冒した政治的暗殺の証拠を偶然入手した弁護士(ウィル・スミス)が執拗な組織の追跡を受けるが、謎の男(ジーン・ハックマン)の力を借りて反撃に打って出る。

 現代社会に仕掛けられたありとあらゆる監視装置を駆使して主人公を追いつめるハイテクサスペンスのおもしろさが売り物なのだが、実は脚本家デビッド・マルコーニはただのコッポラマニアではないか?

 暗号解読や盗聴、監視装置、爆薬等に精通し、国家からの監視を避けるため鳥かごのような防御施設の中に閉じこもって生きているジーン・ハックマンの姿はコッポラの代表作「盗聴」で彼自身が演じた主人公をそのまま復活させたものだし、弁護士に絡むイタリアマフィアは「ゴッドファーザー」を意識したものだろう。大味アクションかと思いきや、実はそういったマニアックツボを狙ったサスペンスという変な映画だ。

 監視衛星まで駆使したハンティングの趣向自体は今更珍しくもないのだが、事件の証拠テープを巡って主人公の凝らした反撃の策略がなかなかバカバカしくも巧妙で、それなりに納得できるから近頃のジェリー・ブッラカイマー制作の映画の中では良心的な部類に入るだろう。

 「ハンガー」とか「ザ・ファン」など何故かホラージャンルに接近すると見違えるように冴えるトニー・スコットの演出もここでは平凡。しかし、十分に水準作。

(99/4/17 シネマスコープ 京都スカラ座

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